セコリ号がついに北陸に着きました。
本来なら新しい地に来て、観光スポット、アンテナショップ、美術館、喫茶店、食堂などなど巡って現地リサーチをしながら、ものづくりの現場へ取材のアポを取ったりするんですが、北陸産地はちょっとだけギアが違います。
というのも、彼が金沢に駐在しているからです。
下山君です。月島のセコリ荘に来店してくれたことのある方はご存知かと思いますが、彼はセコリ荘のメンバーとして立ち上げから参加してくれていました。セコリ荘が1周年を迎えた頃に金沢に移住しました。そして、もうすぐ8ヶ月が経ちます。
これは下山君がまだ東京にいた頃の1枚。オープンに向けてセコリ荘の施工中。
この写真は、播州織について説明中でしょうか。
そんな彼と久々の再開。街を歩きながら、近状や北陸産地について話しました。せっかくなので、僕と下山君の会話を、金沢の風景に乗せてご紹介したいと思います。セコリ百景のブログを読んでくれている方には、下山君について事前情報がないと思うので、ちょっとだけ自己紹介を踏まえながら。
宮浦 今回車で来たからすごい道のりだったんだけど、ついに新幹線開業したね!金沢も人増えた?
下山 そうそう、3月はすごかったよ!3月14日に駅まで見に行ってきたんだけど、こんな感じ!
宮浦 おおすごい人だね!これで東京まで乗り換えなしになると、だいぶ行き来しやすくなるね!
下山 うん、8月には金沢にセコリ荘がオープン予定だし、この勢いに乗ってたくさんの人に来てもらえたら嬉しいね!
宮浦 そうだ、この会話を文字起こししてブログにアップするから、ちょっとだけ金沢にセコリ荘ができる経緯を説明してもらってもいい?
下山 ブログに書くには長くなっちゃうかもしれないけど。。では、できるだけ短めに!僕は元々、東京のセコリ荘の立ち上げ時から参加させてもらっていて、オープンして半年が経とうとするくらいに、宮浦君と金沢文化(金沢文化服装学院)の間で金沢展開の話が決まったんだよね。そこでやっぱり「場づくり」っていうのはそこにいる人が大事だよねって話になって、東京にいながら金沢にセコリ荘を作っていくのは無理だねってことになった。しかも金沢文化と協業してやっていくので、金沢文化が60年間営んでこられた「教育」との結びつきを作りたい。例えば産学連携のプロジェクトをサポートしたり、職人になりたいとか産地で働きたいって学生をサポートしたり。タイミングも良くて、産地に入って学びたかった僕が金沢に移住してセコリ荘の立ち上げを担ぐことになりました。
宮浦 もう1年くらい前から話してきたんだよね。あっ、せっかくなのでシモ(下山君のニックネーム)の経歴も話してもらった方がいいかも!
下山 どこからかな?宮城県生まれで、高校はサッカー部で…ファッションデザイナーを目指して杉野服飾大学で勉強して、卒業後はアパレル企業に就職してデザイナーとして3年勤めて、2014年にフリーになりました。
宮浦 会社を辞めてフリーになって、すぐに移住するってすごい決意だと思うんだけど、なにが決め手だったの?今更ではあるけど。。
下山 う〜ん、アパレルに所属して夢だったデザイナーとして服を作っていたけれど、大量生産の世界になんか違和感を覚え始めてしまって。どんな人の手を渡って服が出来上がるか全く見えない世界。僕自身も現場のことを知らないし、それでも電話とFAXで服がすごいスピードで出来上がっちゃう。あと、作って売れ残った服が焼却処分になるのもおかしいなって。
宮浦 学生の頃の服づくりは最初から最後まで自分でやりましょうって世界だから、ちょっと環境が一変した感じだよね。
下山 でも、そういう世界に身を置いて働けたことは貴重な機会だったよ。やりがいもたくさんあったんだけど、やっぱり僕は現場のことを知りたいし、顔を見てものづくりをしたいし、僕にしかできない仕事を探したいって想いが強くなってきて、セコリギャラリーの仕事を手伝わせてもらい始めた流れだよね。
宮浦 移住して8ヶ月くらい経つけど、金沢での生活や仕事は順調?
下山 こっちでは北陸産地の中の工場や工房の訪問取材をしながら、夏のセコリ荘オープンに向けて店舗づくりとウェブづくりと、色々と。金沢文化でも教鞭を取らせてもらってます。
宮浦 4月から新学期だしね。いまが一番忙しい時期だよね。
こんな感じで、僕らは金沢の街歩きをはじめました。
下山 ここが近江町市場で、石川の「食」が集まる有名スポット。
宮浦 そうだ!セコリ荘で金沢の食についてのイベントをやった時も色々と取材してまわってくれたよね。各酒蔵とか能登の方の工場まで。
下山 石川って食文化も歴史があって特色があって面白い。金沢おでんとかも。金沢のセコリ荘では、石川ならではの飲み物や食べ物を用意する予定だよね。
宮浦 北陸産地の取材を通して、何か発見とかあった?
下山 毎回の取材が発見の連続ではあるんだけど、石川は特に伝統を感じられる要素が強く残っているところかな。伝統工芸が街に根付いてるのもあるし、文化としても生活の中にある。伝統が継承されている部分、そして更新されている部分、さまざまなものづくりを目にすることができてとても勉強になってるよ。
宮浦 セコリ百景に書いてくれた加賀友禅の記事もまさにそんな内容だったよね。軽々しく言えないけど、記事読んで、見学したいなぁって思った。
下山 でも、6月に開催する金沢ツアーでは、色んな現場のツアーを計画してるよ。
宮浦 そうだった!6月6日(2015/6/6)だったよね!一応告知しておこう!
こんな感じで他愛もない話をゆるいトーンで数時間話しました
宮浦 色々話したけど、最後に近い将来の目標について話せる?
下山 産地の中にいるので、作り手に近い距離にいるし、会いに行きやすい。近い目標は北陸のものづくりの魅力をより勉強して発信することかな。セコリ百景のウェブでレポートを載せたり、これからできるセコリ荘ではもちろん。
宮浦 ずっとデザイナーとして歩んできたシモからライターとしての活動意思が最初に出て少し新鮮。だけど、デザイナーの視点で取材して文章を書くって、読んでて面白いかも!
下山 長い目標としては、デザイナーとして地場の職人さんと一緒にものづくりをして、製品に関わっていきたいと思ってる。でも外から入ってきていきなりデザインって無理があると思うし、そういったスタンスはちょっと違うと思う。いまはセコリ荘の立ち上げに向けて店舗とウェブの準備、セコリ百景で北陸のものづくりについて書いていこうと考えてるよ!
宮浦 外部からいきなり入ってデザイン…ものづくりに欠かせないコミュニケーションが難しそうだね。そういう意味で移住してるって強みが多いね。北陸の取材は任せてもいいんだよね?
下山 はい、当面は任せてください!
宮浦 陽が落ちてきたね。なんか今日は晴れたり雨ふったり、忙しい天気だったよね。もっと色々聞きたかったけど、戻ろうか。
下山 なんかちゃんと言葉にならなかったような!けど、少しずつだけど行動に移していけたらと思ってます!
宮浦 今後も北陸のものづくりの発信を楽しみにしてます。
4月でしたが、夕方からぐっと冷え込む金沢での僕と下山君との会話の一部でした。ちょっとゆるい感じで失礼しました。真面目な話も少ししたのですが、是非金沢訪問の際は下山君を訪ねてみてください。
話にあがったイベントも乞うご期待です。
(宮浦晋哉)