先月末に石川県の金沢にてセコリ百景で開催した、ものづくり工場見学ツアーのレポートです!
加賀藩の伝統が色濃く残る金沢の街の魅力、伝統的なものづくりの魅力で溢れた一日でした。
セコリ百景東京班も夜行バスで駆けつけ、多くの参加者の方とたくさんお話もでき、素晴らしい体験ができました。
今回の記事、当日まさかのトラブルで一眼レフカメラが壊れ、サブのカメラも電池切れ、とうとうiPhoneで撮影する形になってしまいましたが…少しでも参加してくださった皆様や、今回は参加できなかった皆さんに魅力が伝われば嬉しい限りです。
それでは百景金沢工場見学ツアースタート!
加賀百万石の古都金沢
百景のメンバーは、協力者の金沢文化服装学院の村上さんと一緒に朝から大忙しでした。
まずは金沢駅前のコンビニ前に集合。
それにしても、いつみてもこの金沢駅の圧倒的な門構え。
これから始まる旅に期待感が高まります!
まず到着したのは、伝統的な加賀友禅の毎田染画工芸さん。
代表の毎田さんの丁寧な解説に一同、興味津々です。
伝統の世界に足を踏み入れるには、充分すぎるスタートでした。
この400年の歴史を持つ加賀友禅は、華やかなものが好まれた京都の友禅に対して写実性が高く、質実剛健さが特徴です。
友禅について理解が深まった後、工房の中も実際に見学。
真剣な表情の職人さんの横、色彩豊かにキャンバスに描かれていく友禅を30cmの距離で感じることが出来ました。
この色を塗る工程の事を「友禅する」と言い、ほとんどが手書きです。
その後はランチタイム。
地元の食材を使ったボリューム満点の定食をいただきながら、僕たちスタッフも腰を据えてゆっくりとお話をすることができ、交流が深まりました。
参加者の皆さんは、わざわざ首都圏からいらしてくださった方や、大学の教授、経営者の方まで様々。
普段はなかなかできないような交流にも、金沢の話題でだんだんと皆さん打ち解けてきた様子でした。
お腹も満たされ、お次はあの真田幸村や昌之が武具などで使用したことが由来と言われる真田紐(さなだひも)の工場へ。
今回お邪魔したのは有限会社織元すみやさんです。
真田紐の特徴は、糸同士を組んでいく組紐(くみひも)とは違い、織機を使って織られていくところ。創業昭和3年以来、すみやさんではずっとこの方法で伝統ある真田紐が製作されてきました。
すみやさんの建物内の空間にも圧倒されました。
もともとはテーマパークを想定して造られた場所なだけに、重厚感のある空間です。
きれいにディスプレイされた真田紐は、空間の演出も手伝って力強く、美しく見えました。
加賀友禅同様、こちらも工場の内部を見学。
参加者の皆様も実際に動く織機を見て興味津々な様子です。
工場内に響く音もさることながら、特殊な動きをする織機に子供ならずとも視線が釘付けになりました。
すみやさんで作られる真田紐は、柄や種類を合わせるとその数は300にものぼるそうです。
解説後は、みなさん一様に真田紐を買い求めていました。
僕は東京から持ってくるのを忘れてしまったベルト代わりに一本購入。
つくり手の皆さん!特注オーダーも、150mからになるそうですが、出来るみたいですよ。
そしていよいよ旅は佳境を迎えます。
最終目的地は能登上布の山崎麻織物工房さん!
能登上布とは、紀元前660年以前より伝わるとされている伝統の麻織物のこと。
昔こそ周辺には多くの織元(おりもと)があったそうですが、現在この能登上布の織元さんはこの山崎さんの工房のみです。
※織元・・・織物の生産業者のこと
まずはお座敷に上がらせて頂き、能登上布についてお勉強。
その後は実際に工房にお邪魔してここでも手織りの風景を見学させてもらいました。
その正確さ故、手仕事で始まり、手仕事で終わるこの能登上布。
若手のつくり手さんが後継者として参加したこともあり、山崎麻織物工房さんの今後の展開が楽しみです!
そしてツアーの締めには、せっかくの能登半島なので、ちょっと寄り道して千里浜(ちりはま)へ。
この道は、日本で唯一、車で砂浜を走れるんです!(全長約8km)
この日の海は、太平洋側ではまず見ることが出来ないほど穏やで、夕日に照らされた水面がきらきら輝いていました。
普段日本海を見ることができない東京方面からの参加者の方々に、特にその景色が色濃く残ったようでした!
インターネットとリアルを繋ぐこと
セコリ百景での初めての工場見学ツアーを無事に終了することができての感想です。
職人さんたちの手仕事を真剣な眼差しで見学し、積極的に質問をされている参加者の皆さんの様子を目にし、「ものづくり」という軸でセコリ百景の活動に興味を持ってくださっている方々がリアルでつながりを持つ場を提供できることの意義を感じました。
そして嬉しかったのは、東京近郊から来てくださった参加者の方に地元から参加の方々が金沢の風土や魅力を伝えている様子が多く見受けられたことです。
ものづくりの輪をもっともっと広げていく事ができれば…そんなことを思いながら、次なるイベントやツアーの企画に意気込みが増した百景メンバーでした。
読者の皆さん、今後とも、セコリ百景の活動を楽しみに見守っていただけると幸いです!