「セコリ百景」を株式会社ブライトログと協同運営するSecori Galleryの
宮浦です。
“日本のものづくりの発展と創出を目指すキュレーションプロジェクト”
事業の正体がイマイチわかりづらいと思うので、
簡単にSecori Galleryのご紹介をしたいと思います。
はじめに、事業名Secori GalleryのSecori (セコリ)は僕の学生時代からのニックネームでもあったのですが、服飾大学で専攻していたイタリアの製図方法SocoliをオマージュしてSNSなどでSecoriと名乗り始めたのがきっかけです。
留学中の2012年、進学するか帰国するか悩んでいた頃に、
ロンドンで日本のファッションブランドを集めた展示会を開催することになりました。
そこではじめてSecori Galleryという名を使いました。
かなり懐かしい写真です。
“ETHICAL FASHION(エシカルファッション)”をコンセプトに掲げていて、
日本の工場と技術開発をしているブランドさん、クラフトワークが光るブランドさん、リメイクで服を作るブランドさんに参加してもらいました。
この頃から、ファッションを勉強してその業界に入ろうとしている自分が、
衣類ができあがる生産背景をあまりにも理解していないことに違和感を感じていました。
また留学中で、多くの海外のメゾンが日本の素材を使用していて、その技術力を高く評価している事実を知りました。
「とにかく国内の現場をまわろう」と決め、
帰国後は可能な限りの頻度で工場と工房の訪問取材を始めました。2012年秋頃でした。
トレンドを追いかけて、最終製品しか見たことのなかった自分にとって
織り、染め、加工、縫製など、すべてのものづくりの現場の景色はすさまじい衝撃でした。職人さんたちのものづくりにかける情熱、脈々と続くものづくりの歴史、その手間ひまの数々に魅力されました。とてつもなくかっこ良かったです。
しかし、現場を訪問取材して聞かせてもらえるのは良い話ばかりじゃありませんでした。
国内の生産量は年々落ちて、各地の工場は衰退していて、工場は分業制なのでドミノ倒しのような状況になっていると。
自分が抱いた感動と憧れのその裏側に、
その存続が危ぶまれる危機が迫っていることを知りました。
そうした取材して集まったお話や、現場の魅力や感動を自分なりの視点で編集して、『Secori Book』という書籍にまとめて、2013年に出版しました。
“年々工場の数が減ってきている。先人達が残してきた技術が次の世代に継がれないまま、伝統が途絶えてしまう危機にある。そういった問題に直面し、再考すべき時代に僕らは生きている”
自分の書いた文章を引用しましたが、
あれから2年半が経ったいまもそう思います。
そういった感動と危機に対して、
自分なりの答えがSecori Galleryという事業です。
2012年秋から今に至るまで、可能な限りの頻度でものづくりの現場を訪れ、
東京と産地を行き来する中で、自分がするべき仕事を考えてきました。
現場の魅力を伝える、文章や書籍にする、展示会を企画する、職人さんと一緒により良いものづくりやその伝え方を考える、東京のデザイナーさんや生産管理の方とものづくりを追求する、産地ツアーを組む、などなど。
2013年末からは月島にコミュニティスペース「セコリ荘」を開き、
「衣食住にまつわるモノゴトをゆっくり共有しよう」というコンセプトで、
各地の素材や製品を展示販売したり、体験型のワークショップを開催したり、作り手と使い手の垣根をこえて「人ともの」「人と人」を結びつける場を目指してきました。
しかし、なかなか僕個人の産業に対しての貢献度と、
国内の産地の状況を考えていたら、このままではいけないなという危機感が増す一方でした。
そして、
- コミュニティスペース「セコリ荘」を地方展開する
- 産地企業の魅力をより広く発信して、素材や製品のファンを増やし、後継者問題にも向き合う
今後数年では、この二大目標が頭に浮かびました。
つまり、リアルとネットでの「場作り」です。
そうして着手しているのが、セコリ荘の金沢展開。
セコリ荘はとにかくフィジカルのコミュニケーションを生む場づくりを目指しています。たとえ分母が少なくても、濃密なコミュニケーションの積み重ねを重視しています。
そして、もう1つが「セコリ百景」です。
いま、危機的な状況の中で、国内生産に関わるモノゴトの分母を増やさないとならない状況です。フィジカルというよりインターネットを通しての広がり方をイメージしました。セコリ百景のブログ記事を読んで、知らなかった各地の仕事や背景を知る。興味が湧けば、産地ツアーや交流会に参加することができる。大使制度で各ものづくりのファンになるのも、実際に製品を使うのも良し。
そうやって表に出づらかった情報量が増え、ファンが増え、現場で働きたいという連鎖が生まれ、より良いものづくりへの循環が形成されていくことを目指しています。
目指す規模感と、アナログでフィジカルな僕個人ではできることに限りがあるので、渋谷にオフィスを構えるIT会社ブライトログと協同企画することに至りました。
脱線しながら長くなりましたが、そんな感じです。
少しずつ輪郭ができていくと思いますので、Secori Galleryもセコリ百景も温かく見守ってくださると幸いです。
(宮浦晋哉)