日の光に照らされて輝く新緑のグリーンと、海からの潮風が心地よい稲村ケ崎の線路沿いの一角にそのお店は居を構えます。「古くから伝わる物を大切にし、かっこよく、クールに使っていく。」をコンセプトに、素敵なロケーションの中、古民家で魅力的な古道具や骨董品を扱うショップ「R」の代表の吉川さんに話をお伺いしました。

今日は宜しくお願いします。
中々お店を見つける事が出来ませんでした・・・
江ノ電の線路を歩いて渡らないとお店に行けないんですね!
まさかそんな場所にあるとは思わず探してしまいました!
そうなんですよ。
線路にある青のランプが点滅している時は
電車が来るので注意してくださいね。 笑
古民家良いですね。
生垣の中に足を踏み入れた瞬間、ここには別の空気が流れている感じがします。
この古民家は、築100年以上なんですよ。
元は茅葺きだったんですよ。
できるだけ手は加えないようにしましたが、屋根と床は張り替えました。
イメージなのですが、このあたり(稲村ヶ崎は海沿いでRの窓からは海が見えます)では潮風とかの影響であまり家が長持ちしないものかと思ってました。
半分は正解です。やっぱり潮風なので金属は長持ちしないですね。
どうしても錆びてしまい、傷んできます。
自転車なんてすぐ錆びます。
でも、木製は結構平気なんですよ。
そうなんですね。
それでは、どうして骨董を始めたのか?
そしてなんでこの場所を選んだか?などこのショップスタートの経緯をお伺いしてもいいですか。
はい。
1999年からスタートしたので、今16年目なのですが、当時は定職にはついておらず、『何か自分で始めたい』と思っていました。
『何か』と言っても特に骨董など決めていたわけではありませんでした。
ただ、『仕事をするなら世の中の役に立つこと、環境を破壊しないことがやりたい』という漠然としたものが有るだけでした。
ある時、町田の骨董市にたまたま行った時に古く使い込まれた桐のタンスに出会いました。
そこで『これだ!骨董品を仕入れて売ろう!』と思い骨董に決めました。
それまでは骨董について勉強したりなどは一切なかったので直感的に決まった感じです。
骨董を仕入れて売ろうと思ってから、1年間は骨董屋さんで修行し独立しました。
この場所をショップにしたのはご縁ですね。
もともとは、骨董市などに際の商品の倉庫を探していたのですが、
この古民家に出会い、オーナーさんに直接お願いをし、ショップにさせて頂きました。
直感で骨董を決めたというのはすごいですね。
今でこそ社会的にはビンテージに対する価値観が見直されている感じではありますが、当時は今ほどの熱は無かったですよねきっと。
骨董の販売・ショップの運営にはどんな想いがあるんですか?
[この古民家も骨董品の一部。吉川さんの言う”丸み”を感じます]
ショップ名のRに想いは込めてあります。
Revolution
Relax
Recycle
この3つの頭文字を取ってRというショップ名にしたんです。
まだまだ使えるのに、捨てられてしまうものってものすごく多くて、出来る限り捨てられてしまうものを減らしたいと思っています。
当店では骨董品の買取もやらせて頂いているのですが、出来る限り買い取れるものは買い取る方向でやっています。
例えば、こけし1本でも買い取ったりもします。
場合によっては他のものと合わせてにはなってしまうのですが。
一番強く思っているのは、
大量生産・大量消費の社会を見直したいと思っています。
それが、Revolutionに込められています。
新しいもの・消費がだめというわけではないです。
ただ、売れれば良いたくさんつくれば良い、古いものは捨て、新しいものを使えば良い。
こんな大量生産の考え方に個人的には違和感を感じています。
例えば、木のテーブルです。
腕の良い職人さんが、1つ1つ手をかけて作ったものであれば価格は高いかもしれません。
しかし、しっかり手入れをして使えば、100年ぐらいは使えるんですよね。
しっかり作られたものを、長く愛用する。
古くから伝わるものを大切にし、クールに使う。そんな価値を提案していきたいですね。
国内の伝統的な工芸品もやっぱり残って欲しいと強く思っています。
昔はどこのお風呂屋さんにもあった籐のカゴとかも今ではほとんど見かけないですよね。
僕も良い物へ対する理解が必要だなと感じてます。
吉川さんが考える古いものの魅力をもっと詳しく教えて欲しいです。
古いものの魅力は色々有るんですが、一番は使われた丸みというか、柔らかさですね。
この古民家もそうですが、木製の扉にしても長い間使われ、触られるなかで
角がなくなって丸くなってきますよね。そこから柔らかさ・美しさが生まれると思うんですよね。
これが経年変化の面白さかもしれないですね。
僕も実際、買取の時に物をみると『この椅子は大切に使われてたんだな』
とかまで、やはり分かるんですよね。
説得力が違いますね。吉川さん、本当に骨董が好きなんですね。
そうなんですよね。もう家を解体するからなどの理由で、買取にお伺いして、古いものがいっぱいあったりするとものすごくテンション上がっちゃいますね!
お話を沢山ありがとうございます。最後に何かメッセージをいただけないですか?
メッセージは決まってます!
古いものがあったら一度連絡下さい。
できるだけ捨てられるものを減らして行きたいので。
最後って、言っておきながらもう一ついいですか?
このお店の営業時間って日没までなんですね。
大体日没までです 笑
その場所に存在する”もの”に対して空間がなにかを吹き込み、ものが彩られる。
それがこの稲村ケ崎のRという空間に並べられると、息を吹き返した様に輝く。そんな、なんとも言えない感覚を覚えました。是非一度実際に足を運び、その不思議な空気を感じて欲しいお店です。
店舗情報
R : 神奈川県鎌倉市稲村ガ崎3-7-14
営業時間:12:00~日没 / 定休日:月、火曜
R NO.2: 神奈川県鎌倉市稲村ガ崎2-4-21
営業時間:12:00~18:00 / 定休日:月、火曜