国内最大規模の鞄の産地である、兵庫県豊岡市。

ここに創業1824年、日本最古と言われる鞄メーカー「エンドー鞄株式会社」と、同社が運営するアトリエショップ「嘉玄 (Kagen)」があります。

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のれんをくぐると工房長の荒田守さん、若手職人の山本大二郎さんが笑顔で迎えてくれました。

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思いっきりぶれてしまいましたが、良い雰囲気のお二人。

荒田さんは豊岡生まれの豊岡育ち。この道20年以上の職人さんです。ショップ、アトリエ、資料室からなるお店を案内していただきました。

ショップでは、隣のアトリエから響く力強いミシン音の中、まさにできたてほやほやの嘉玄のオリジナル商品が並びます。専属のデザイナーさんがいて、裁断、縫製がアトリエ内で行われています。

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革製品の中で帆布のバッグも目を引きます。

ふと思いましたが、シャツ、スカート、ジーンズ、足袋、革製品など、素材とアイテムによってミシンの音が面白いほど多様で、嘉玄のアトリエから聞こえるミシン音は、特に馬力のある力強い音です。細かいパーツの一辺一辺を迷いなく滑らかに縫っている印象です。布地特有の荒馬のような回転音ではなく、ずっしりと聴いていて心地良い音です。

そして二階は190年続くエンドー鞄の所蔵コレクションが展示される、資料室。

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豊岡が鞄の産地として栄えたルーツである「柳行李」や「行李鞄」など長い歴史を体感できる、圧巻の展示風景です。

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明治、大正期につくられた鞄が、かなり良い状態で並んでいます。

もともと、豊岡は農業が盛んで、柳の栽培に適した気候であることから柳の栽培、加工がはじまりました。柳は一年に一度の収穫、そして編素材になるまでには一年半もの時間を要し、「植物の象牙」と呼ばれるほど、希少な素材だったそうです。

それでも製品にした時に非常に軽く丈夫で、植物特有の機能的な素材であることから、さまざまな用途で広く使われていたそうです。

全国に広がった需要に対して、柳の栽培、製造販売に力を注いだことから、鞄の産地「豊岡」としての基盤ができてきました。

柔軟で湿気に強いから、古い鞄も状態が良いんだろうと思います。

豊岡に滞在中、現地の方々に豊岡の魅力や特徴を聞いてまわってみると「鞄づくりの歴史」と「現役の職人たちがいること」という意見が集まりました。

嘉玄の工房長の荒田さんも、そういった豊岡で鞄の魅了を知りながら育ちました。物心ついた頃からものづくりが好きで、「鞄づくりに長く携わる人は、良いものを作ろうという人が多い」と話します。

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鞄というのは当然長く使えるものだし、メンテナンスさえすれば「柳行李」や「行李鞄」のように世代を超えて使えるもの。

「長く大切に使って欲しい。」そんなつくる手のものづくりのスタンスに、みなさんが話す豊岡のものづくりのDNAが息づいているのを感じました。

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これが嘉玄に鳴り響く正体の腕ミシン。

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裁断した革を、一針ずつ丁寧に縫い進めていきます。革製品なので、縫い誤って解いて縫い直し…というわけにはいきません。

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1つ1つの裁断、縫製を経て丁寧に作られた嘉玄の商品。量産はできないですが、是非多くの方に触れてもらいたいです。できれば、豊岡に足を運んで資料室で歴史を感じながら、作り手の職人さんとの会話も楽しんで欲しい。豊岡はなかなかアクセスが良い場所ではないので、セコリ百景のサイトでも販売するお手伝いができたらいいなぁと勝手に思ったり。

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当サイトでも取材中で、僕も親交のある金沢のすみやさんの素材を見つけました。すみやさんの組紐を使ったカードケースやぺんケースも商品化されています。

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とにかく、革、良かったです。男心がくすぐられました。

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作者情報(一覧を見る)
宮浦
宮浦 晋哉

セコリギャラリー主宰日本のものづくりの創出と発展を目指し「Secori Gallery」を始動。産地を回りながら、書籍制作、イベントの企画運営、製品開発、ディレクションなどに携わる。コミュニティスペース「セコリ荘」を運営しながら、生地のショールームも展開。