もっと地方の魅力を世に伝えていくためには?現地で見た産地の課題感

_MG_6206

 

aza02_MG_6731 12.25.41

これは村田氏も日々考えていることにも繋がると思うんだけど、産地と、地方ブランドの課題ってどんなところだと思う?

MG_3776

うーん…どうですかね。結局一番必要になってくるのは『地方の産地に関わる人が柔軟に今の時代に対応できるか』と『課題を解決するアクションをやるだけのエネルギーがあるか』が大切な気がします。

aza02_MG_6731 12.25.41

確かにそれはどの分野でも大切だね。

MG_3776

あとは、徐々に認識は変わってきていますが、地方はデザイン等の無形資産への理解を深め、そこに投資をすることがもっと一般的になったら、今の時代にフィットしてくるかもしれませんね。

aza02_MG_6731 12.25.41

無形資産への理解というと、会社が投資に対してそれに応じた『モノ』がないと、なかなか理解してもらえない感じってことだよね。例えば僕たちが地方のプロダクトのブランディングをしますって話をしても『その結果、ブランドの価値が上がったってなんだ?』って言われちゃうのと同じだね(笑)やっぱその後に売上が上がったり、目に見える『もの』で投資の成果物が欲しいんだよね。

MG_3776

それはありますね。付加価値をつけようと思った時に、ブランディングへの投資が先が、売上が先か、難しいところです。ブランディングには時間がかかることを理解していないと、売上が追いついて来るまでなかなか辛抱出来ないと思います。

aza02_MG_6731 12.25.41

理解してもらうにも時間がかかるけど、デザインの力等で解決できる課題が地方には沢山ありそうだね。

ファッションデザイナー視点で見る今の日本のファクトリーブランドについて

_MG_2357

 

aza02_MG_6731 12.25.41

ではもうひとつ、ファクトリーブランドについて。いま全国にはたくさんのファクトリーブランドがあるよね。この中でもまだ飛び抜けてうまくいっているとこはそこまで多くないと思います。村田氏の経験からして、この状況を打破するには何が必要だと思う?

MG_3776

うーん。今は普通にアパレル業全体でみても、まだ飛び抜けてうまくいっている所はないですよね。これもどの組織でも言える事かもしれませんが、例えば工場内で若手が新しいブランドを始める時に、昔ながらのやり方を守ろうとする人たちと価値観の違いから必ず摩擦が起こります。若い人材にある程度は任せてもらえないと、改善していかないんじゃないでしょうか。そこが始めの一歩ですよね。

aza02_MG_6731 12.25.41

価値観は時代と共に常に変化し続けてるからね。僕はまさに価値観の変化の振れ幅がここ数年間で一番強い時期なんじゃないかって感じてます。大量商品の時代から、ブランドの時代、そこからいまは自然で飾り気がない事がかっこいい時代…。

MG_3776

今のファクトリーブランドで、新しい価値観に対応してうまくいっているところを見てみると、デザインの価値を理解している人が、そのブランドの経営上の決定権を持っているところが多いですよね。それと、会社や組織で言うと、営業・生産・企画のパワーバランスが同じになると、つまり企画部が営業部や生産部と対等に議論できるようになると、うまくいくんじゃないでしょうか。

aza02_MG_6731 12.25.41

僕はあまりそういう経験ないけど、営業や生産管理が基本的には強いもんなんだ。営業は自分たちが売ってきてるし、生産はいいもの作ってる、では企画は何してんだ?ってことか。

MG_3776

そうなんですよ。これって会社の縮図みたいなもんで、特に下請け体質の会社は基本どこでも企画が弱いことが多い。デザインやマーケティングも企画に含まれます。この企画の立場が社内的に上がる事がファクトリーブランドが成功するポイントな気がしますね。

これからの未来に必要な働き方。日本の産地に必要不可欠なピースとは

_MG_8075織られて行くhatsutokiの生地

 

aza02_MG_6731 12.25.41

それでは、いよいよ佳境に入ります。僕自身もこれからの日本の各地方に散らばる文化や資産を次の時代に繋ぐことをモチベーションとしてセコリ百景をやっています。移住経験者としてずばり、これからの地方やテキスタイル産地に必要なことって何だと思う?

MG_3776

まずは何より人が移住することじゃないですかね?人がいないと始まらないので。自分で仕事を作れるような人がもっと地方に移住することが大事だと思います。

aza02_MG_6731 12.25.41

地方で自分で仕事を作るって簡単ではなさそうだね。

MG_3776

田舎に仕事がないと思い込んでる人はだめだと思います。もしかしたら自ら仕事を作り出せるような人がまず移住して、それに乗っかる人が徐々に増えていくって形が良いかもしれないですね。

aza02_MG_6731 12.25.41

もっとこういうものがあれば、移住しやすくなるのに、とかはある?

MG_3776

その産地・地方の自治体で移住するための情報や、環境を整えてくれるとしやすいかもしれないです。

aza02_MG_6731 12.25.41

確かに物件なりのサポートは必要だよね。仕事の斡旋とかもあればいいよね。働きたくてもどんな仕事があるのかは分からないし、まだまだ情報不足かもね。せっかくなので兵庫県の播州織の故郷、西脇市をPRしてみてよ(笑)

 

_MG_7787

 

MG_3776

うーん……(結構悩む)西脇はちょうどいい、田舎ですかね。神戸や大阪にも小一時間ですぐ出れるし、アマゾンはちゃんと翌日に届くし、移住はしやすい場所ではないでしょうか。自然も溢れているし。本当にほどよく田舎で丁度いいです(笑)あと西脇は、農業ではなく工業都市として発展した街だから、昔から女工さんがいたり、外部からの人の流れは盛んです。外部の人に対して、意外とすんなり受け入れてくれるところがあるのかもしれません。

aza02_MG_6731 12.25.41

本当に西脇は魅力的な街だよね。ものづくりについては僕もまだ情報が少ないけど、自然が素晴らしい!あんなに多くの蛍も初めて見た。月並みな質問かもしれないけど、村田氏にとっては『産地・西脇』って何?第二の故郷とかそういうのは当たり前なのでいりません(笑)

MG_3776

故郷ではありますけどね(笑)あと、誤解されないように表現したくて僕もずっと考えていますが、産地は『手段』の一つであるべきだと思います。ものづくりをする為の手段のひとつとして『良い関係性でいること』を考えています

aza02_MG_6731 12.25.41

それはやっぱ外から産地に入り込んだ人だからこその視点だね。分かります。その産地の魅力を良く理解したからこそ、外からみた視点で本質的な部分を新しいアウトプットで表現するって意味合いだよね。産地もある意味では『大きな道具』の様なものってことか。

 

 

_MG_3776

 

MG_3776

産地や地方が活きるには間違った使い方をしちゃだめなんですよ絶対。例えば、西脇は量を作って初めて工場の設備やノウハウが活きて来る産地なんです。だから、西脇で小ロットで作るみたいなのは、そもそも間違ってるんです。もちろんhatsutokiもですが、初めから大きなロットでチャレンジをすることは難しいでしょうけど、最終的には量産していく形を目指さないと西脇の実力を最大限に活かせないのです。

aza02_MG_6731 12.25.41

西脇では、工場の設備自体が大きいロットに最適化されているってことだね、人も含めて。

MG_3776

そうです。西脇では小規模の『ほっこりブランド』ではだめなんです。だから希少性を歌う理由はない。ブランドもプロダクトとしての完成度を上げる必要があるんですよ。

aza02_MG_6731 12.25.41

村田氏もhatsutokiのデザイナーとして、お世話になっている産地の本質的な部分を追求して大事にしているんだね。

MG_3776

デザイナーにとっては、まず産地の文化や特色を理解することが、本当に良い生地作りの第一歩かもしれませんね。

 

_MG_7720西脇ではズラリと並ぶ機械の迫力ある景色をみることができます

 

これからの地方に必要なこと

セコリ百景の活動で日本各地の地方を訪れると、村田氏の様にデザインにおける嗅覚が鋭く、ITの技術や知恵で多方面への広報活動を展開出来るような人材が、ものづくりの現場や、伝統工芸の現場には必要不可欠だと感じていました。

「自分達でゼロから企画して、工場に行って、生地を作って……現場の近くにいなければ絶対にできないことをやっていると思います。もっとhatsutokiや産地のことが一般的に知られて、僕らの仕事がより良いサイクルを生み出して行けたらと思っています」と村田氏は話します。
ここでは実際、村田氏以外でも『Jターン転職の』人材が新たにブランドに加入したりと、少しづつですが産地西脇での雇用を生み出しつつあります。

時間はかかるにしても、誰かがまず動き始めることが大事です。客観的な視点で地方の魅力を再定義し、人の流れを創り出し、地場のものづくりの未来の形を描くことが出来れば、日本のいたるところに多種多様なコミュニティが生まれます。それが地方に活気を生み出すハブになるのではないでしょうか。hatsutokiをはじめ、各地方を代表する発信源が日本中にアンテナを建て始めている今、まずは「新しい価値観への理解」という、アンテナを建てるためのインフラを整える事が急務の様です。


作者情報(一覧を見る)
otaki
大滝 洋之

Brightlogg,Inc.代表
歴史と伝統に敬意をはらい、ものづくりを現代の価値観で再解釈し、未来に繋げることを目指す。都内を中心に全国を巡りセコリ百景を運営する。